今更だけど、特に中古での個人ネット販売は気を付けた方がいい事は以前にも触れたことがある。
誰でも少しでも高く販売できるほうがいいに決まっている!ところにきて、値段が"安い"のには安くせざるを得ない何らかの理由が存在するからだと考えたほうが無難である。
ましてやレギュレター関連などは、中身の状態を確認する術が無いため、売りたい側のセールス文章のみを信用するしかないが、失礼ながら全ての人が親切で正直な方ばかりとは限らない・・・。
先週また1台ApeksのXTX200の1stでそんなのが舞い込んで来ました・・・。
トランスミッターには前回OHしたとおぼしき日付で2010/1/20というステッカーが張ってあるが、バラしてみると中身はどうもそんな感じではない・・・。
確かに明確な完了基準というものが設けられていない為、どこまでやって何を持ってしてOH完了なのかがこの業界は曖昧なことは否めない・・・。
そんなApeks XTX200の1stを本人は6000円で買ったという・・・。
調整段階にきて、スーと躊躇無く上がっていってしまい、中圧が全く作られていない・・・。
んっ・・・? 大概こんな時の問題点は決まっているので、また改めてバラしてみる。
しかし肉眼では特に問題点は見当たらない・・・。
もう一度組み立てて計測してみるが、やはりさっきと同様中圧は何のためらいも無くドリフトしていく・・・。
ここが問題なのである。
一旦中圧計の針の値が決まって、そこからジワリジワリとドリフトしていくのと、今回のようにストーンと躊躇いも無くエンドレスに上がっていくのとでは問題点が全く違う。
大体の想像は付いているものの、もう一度バラし直して、まずは高圧ポペットの当たり面を見てみる・・・。
なるほど・・・。
今度は拡大鏡であら捜しの様に問題点を突き止めていく・・・。
パッと見では気が付かないが、マクロ探しのように拡大鏡で高圧のオリフィスの歯を舐めるように見ていくと、微妙だがどこかで一度歯を傷つけて研磨し直した痕跡がうっすら残っているのを発見。
表面的にはある程度綺麗に研磨しなおしているようだが、決定的なところに気が付かなかったのか失敗したのだろう・・・。
これでは当然正常な中圧値など作れるはずもない・・・。
構造と仕組みのイメージができる方にはもうお解かりかと思いますが、ここは経験と技術的な部分でもあるのであえて書きませんが、以前のOHでおしいところで結局失敗したのでしょう・・・。
"安さ"の原因はそこにあったのです。
Apeksの場合、高圧オリフィスはボディと一体式なので、問題があってもこの部分だけの交換ができず、そうなるとボディごと交換しなければなりません。
ボディだけで42,000円・・・。
その他のOHでの交換パーツ代や工賃などを入れると軽く50,000円を超えてしまいます・・・。
よもや安く買った中古商品だったのに、OH代金としては現実的な金額では無くなってます・・・。
本人に連絡して状態と事情を説明して、改めて引き取らせました。
こんなパターンが、ウチにとっては最も赤字なんです!
OHが完了できていないのに、結果として料金は頂けない!
でも、実際の作業と工程では時間もそれなりにかけてOH自体はちゃんと行っているし、新しいパーツも使用してしまっている・・・。
でも最終的にはお客さんから料金は頂けないと言う現実の最悪の業務となるのです・・・。
実際作業してOHは済んでいるんだから、完成できないとはいえ、最低の作業賃や手間賃だけでも貰えばいいのに!と言ってくれる方もいるにはいるんですが、やっぱり消費者側の立場に立ったとしたら、その裏にはこちらがどんなに手間と作業時間をかけたのかとしても、結果的に使えないものに料金を支払うのは納得しづらいのではないだろうかと言うことで、当店では仕上がらないものには一切料金は頂いていないのです・・・。
結局こんな時は単なる赤字なんです・・・。
職人気質がそうさせているのかもしれないですが、業務としては辛い現実ですね・・・。
旭潜水技研
http://asahi-scuba.jp